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背中でバカンス アイドレスWiKiの該当ページ L:背中でバカンス = { t:名称 = 背中でバカンス(イベント) t:要点 = ロッキングチェア,バカンス,水竜の背中 t:周辺環境 = 海の上 t:評価 = なし t:特殊 = { *背中でバカンスのイベントカテゴリ = 世界イベントとして扱う。 *背中でバカンスのイベントの位置づけ = 自動イベントとして扱う。 *背中でバカンスの効果 = 国民は善政を祝う。 } t:→次のアイドレス = 善政(イベント)(善政(詩歌版)),高位吟遊詩人(職業), 魔法戦士(職業),ドラゴンライダー(職業) } 派生前 水竜ソットヴォーチェ(I=D・水竜の開発で開発)
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「すまないが、肩を貸してくれないか」 開口一番、ジェイスに言葉を投げかけたのはメイド服の女性だ。 地面に大の字で寝そべり、優雅にサボタージュかと思いきやそうではない。 彼女の服にへばりつく赤い染みと側に転がっている死体が、呑気な予想を許さない。 また、めんどくさそうな奴だ。ジェイスは心中で吐き捨てつつも、表情を変えずに答えを返す。 「この近くにある診療所に行きたいが、どうも身体が鈍くてな。出来ることならば、頼みたい」 「美女のお誘いだ、是非とも肩だけじゃなく色々と貸したい所だが、血塗れの女はNGでね。 物騒なモンに巻き込まれるのはごめんだ」 「こんなゲームに巻き込まれてる時点で手遅れだと思うがな」 「うるせえ。俺はまだ常識人なんだよ。 最後の一人になるまで生き残れって言われて、はいわかりましたーって従うアホタレでもねー」 「だが、そうしなくちゃ生きて帰れない」 「……」 「もしかして、考えてなかったのか?」 「考えてるわ、それぐらい! 頭脳フル回転で考えてるっつーの」 ああ言えばこう言う。目の前にいる女は口もそれなりに達者なようだ。 相棒であるリロイ、うざったいぐらいに過剰なおせっかいをかけてくるサンドラと比べると寡黙であるが、あの二人は別格だ。 あんなにうるさい傭兵が何人もいてたまるか。 「それで、肩は貸してくれないのか?」 「貸さねぇって言ってんだろうが!!!」 「平常ならここまで請わんが、ここは殺し合いの場だ。少しでも体力は温存しておきたい」 「俺の体力が減ってもいいのかよ」 「女性に肩を貸すぐらいでヘタれる柔な鍛え方をしてる訳でもあるまい」 それだけ減らず口を叩けるならいらねぇだろうが、とは言えなかった。 言い返してもめんどくさいことになるだけだとわかっている。 この手の奴等は自分の考えを無理矢理に押し通す。 実力行使で奪い取られるのはいつも常識人たる自分達のような者だ。 ああ、嘆かわしいことだ、とジェイスは頬を釣り上げた。 (けっ、リロイなら何も言わずに助けるんだろうが、俺はちげぇ。あいつと俺は……遠いんだよ) こんな時でも、リロイのことを考えてしまう自分に辟易してしまう。 自分よりも遥か高みにいる彼と自分。常に前を向き続けることができる彼と立ち止まってしまう自分。 何もかもが違いすぎる彼と相棒をやって何年経っただろうか。 彼の背中が、遠いのだ。手を伸ばしても届かないぐらいに、彼方に彼はいる。 「……チッ」 だから、彼女を救けたのはある種の対抗心だったのだろう。 てめぇじゃなくても大丈夫だという自尊心、矮小な自分でも生き抜ける。 その証拠を打ち立てたかっただけだ。決して、無償で人を助けるお人好しになった覚えはない。 「おい、おまえ」 「エスメラルダだ」 「……エスメラルダ。肩を貸すよか上等なもんがある。それを使って行くぞ」 「感謝する」 別に、誰でも良かったのだ。自分が救けたのではない、たまたまだ。 もしも、ここを通りがかったのがリロイだったとしたら、自分よりうまく立ち回っているだろう。 微かに生じた焦燥と劣等が入り混じった情に苛まられる。 (俺は、リロイを……) 越えられるのか。言葉は最後まで紡がれなかった。 そんな弱音を吐いてしまったら、きっと自分は一生負け犬だ。 「X-Wiっていうやつらしい。これで歩かなくても楽に移動できるらしいんだ」 「信用できるのか?」 「知るか。ニセモンでもやってみるだけタダじゃねぇか」 「意外と大胆なんだな」 「使えるもんはなんだって使う主義なんだよ。俺は……いや、くだらねぇ話をする前に使ってみるぞ」 ジェイスは取り出したX-Wiを背中に取り付け、女を両手で抱き上げる。 いわゆるお姫様抱っこというやつだ。もっとも、彼ら二人はロマンスともかけ離れた傭兵だ。 この程度のことできゃーきゃー言う年齢でもないことから全く動じていない。 「んじゃ、やってみますか」 瞬間、世界に概念が灯る。 ――光とは力である。 概念が、光となり力となり翼となる。 それは彼らを空へと押し上げ、超加速を纏う。 「は?」 「な?」 言葉を出す前に、絶叫が自然と口から漏れ出した。 付け加えておくと、彼らは空を飛ぶといったことは全くの未知の経験であり、説明書には動かし方と簡単な概要しか書かれていなかった。 つまり、空を飛ぶといったことを全く想像していなかったのだ。 「うあああああああああああああああああああああああ!!!」 「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!?!?!?!!」 二人は、感じたことがない超加速を全身に受けながら空を飛ぶ。 彼らが目指していた診療所と真逆の方向に。 【時間:1日目 深夜】 【場所:I-07】 【ジェイス@ラグナロク】 【持ち物:≪斬り裂くもの(ツェアライセン)≫@ラグナロク、紫堂家秘伝の“煙草”@アークⅨ、X-Wi、水・食料二日分】 【状況:打身(軽)】 【備考:EX.#04 BETRAYER~裏切りの報酬~開始直前から参戦】 【エスメラルダ・チェカ@アークIX】 【持ち物:ラグナロク(製造番号:1006、刀身のみ)、Z-Mウェポンズ ストライクガン(6/12、予備24)、不明支給品、 水・食料二日分】 【状況:重傷】 【X-Wi】 風見・千里が装備している武装。バックパックのようなもの。 起動すると、光の翼を生じさせて高速飛翔が可能になるが、使い慣れてないと多分酔う。 もう一度君に会いたい 投下順 夢失せ場所の自失娘 遺された願いを拾って 時系列順 殺人島の不可能男
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消化器系の機能 ①摂取した食物を消化液と混和しながら機械的に細分し、口側から肛門側からへと移動させる機能 ②消化酵素、電解質溶液及び溶液を含む消化液の分泌 ③高分子化合物を加水分解する化学的消化機能 ④腸粘膜における吸収上皮細胞での物質輸送 呑酸=すっぱい液体が胃から口中にこみ上げること 胃食道逆流症(GERD)=食道と胃のつなぎ目(噴門)にある食道下部括約筋が弱くなり、胃の中身が出てる症状 神経性食思不振症=拒食症みたいなやつ 回盲=回腸と盲腸の間 吐血=消化管からの出血。色は赤黒(コーヒーの残ったやつみたいな色。遺産と交わる時間が長いため) 喀血=肺から出血。色は鮮赤色。気泡を含む 裏急後重=しぶり腹(残便感があり、繰り返し腹痛を伴い便意をもよおす。テネスムス) 下血の位置と色=上部から…黒色タール状便 下部から…赤色便 腹痛の種類=内臓痛、体性痛、関連痛 内臓痛=漠然とこのあたりが痛いと表現することが多い。 関連痛=内臓の痛みを伝える内臓神経求心路と、皮膚の痛みを伝える脳脊髄神経求心路が脊髄の同じ高さの分節にあるので、皮膚の痛みと内臓の痛みを勘違いする 水の出入り…+ 経口摂取水分2L 唾液1L(口腔) 胃液2L(胃) 胆汁分泌1L 膵液2L (胆のう、膵臓) 小腸液1L (小腸) 計 9L - 水分再吸収 7~8L(小腸) 1,3~1,5L(大腸) 計 8,3~9,5L 差し引き 約0,1~0,2L 糞便中に排出される 下痢=一日の排便量>200~250g 下痢の病態生理学的分類 ①浸透圧性下痢…浸透圧を上げる物質(塩類下剤、ソルビトールなど)がある→腸管内浸透圧↑→細胞内から水分の流入が起こる→腸管内浸透圧が保持されて起こる ②分泌性下痢…腸管からの分泌亢進or吸収の抑制(コレラ、大腸菌毒素、プロスタグランジンetc)③滲出性下痢…粘膜の吸収↓by炎症、壊死、腸粘膜の脱落etc→滲出液が排出(by細菌感染、潰瘍性大腸炎、クローン病) ④腸管運動異常性下痢…腸管運動が亢進し、腸管内容物が急速に通過することにより内容物と吸収細胞との接触時間の短縮。(過敏性腸症候群) まとめると 入+→①、② 吸-→②、③、④ 乳糖不耐症=先天的に乳糖を分解できない(酵素がない)病 下痢のときはむやみに下剤を使用しない(生体防御機構のため) 下痢により脱水することがあるので、水分は多くとったほうがいい。 便秘=便が大腸内に長時間とどまり 、排便が順調に行われていない(明確な定義はない) 器質性…その場所に炎症などの異常がみられる 機能性…見た目では異常がないが、ちゃんと機能していない 器質性便秘では一過性と常習性があるが、常習性のほうが多い 便秘が起きた時は、無理の抑制しない。食事は食物繊維を多くとり、水分を十分に摂取する。
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検索 and or 《アクセサリ/背中》 ア~オ カ~コ サ~ソ タ~ト ナ~ノ ハ~ホ マ~モ ヤ~ヨ、ワ
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大きな背中 ◆HoYWWMFJdI 渾身の力を込めたてつのつえの一撃をいなされ、 とっておきの真空呪文・バギマも弾き返され。 『ヘンリー!!プックル!!』 友も傷つき倒れ。 ――――――勝てない。 目の前の魔術師には何を持ってしても勝てないのだ、と 心が黒く塗り潰されていく…………絶望。 ぼくが薄れゆく意識の中で聞いた、父の声。 再び目を開いた時に見た、父の大きな背中。 ……お父さんは、ぼくが人質に取られたせいで、何もできなかった。 巨大な剣で腕を斬り落とされても 巨大な蹄で腹を蹴り飛ばされても 魔術師の放つ炎で焼かれても ぼくのために、お父さんは、ずっと耐えていた。 あかいいろ。 お父さんは、血で真っ赤に染まりながら、言ったんだ。 『お前の母さんは、まだ生きているはず…… わしに代わって、母さんを』 お父さん、お父さん、お父さん、お父さん……… ■■■ 「泣いてる……」 大きなサッカー場の観客席で。 長身の少女―――香椎愛莉が、紫色のターバンと紫色の旅装束を着た、 横になって眠っている少年をおっかなびっくり見ている。 見た感じ小学1,2年生くらいだろうか。 (こんな小さい子まで……) そして、連鎖的に先程の光景が思い出される。 無造作に死んでいく人達。 殺し合えという言葉。 身長が170cmはある早熟な子と言っても、 愛莉は少女らしい、ただの小学六年生……子供なのだ。 「パパ……ママ……長谷川さん…… 怖いよ……帰りたいよ……えっぐ」 ぽろぽろと涙を流す。 普段なら感情を露わにしてわんわんと泣く愛莉だが、 大きな声を上げると誰か怖い人に見つかるかもしれないと、 声を殺すように我慢して泣いている。 「ん……」 少年は身じろぎすると、目をこすりこすりして目覚める。 ■■■ 目が覚め、声の方を見ると、大きな背中を震わせて、女の子が泣いている。 「えっと……大丈夫……?」 アベルは立ち上がると、大きな少女に問いかける。 「ひゃ、ひゃいっ!」 突然呼びかけられ、少女は吃驚しながら返事を返す。 「えっと、ここは……」 混濁する記憶をアベルは呼び起こす。 (お父さん―――パパスを殺した魔術師・ゲマによって、 確か、ヘンリー王子とぼくを奴隷として使うって話を聞いて…… その後気がついたら、あのポーキーという人の部屋に居たんだ……) これは、奴隷の子供達を使って殺し合わせる、 金持ちの遊戯だったりするんだろうか、とアベルは考える。 (ヘンリーもここに放り込まれたんだろうか。 プックルは無事逃げられただろうか。 サンチョは心配して……そりゃ、心配してるよね……) 「えっと……君も、奴隷として連れて来られたの?」 「えっ、えっ……?ど、奴隷……?」 みるみる少女の瞳に涙が溜まっていく。 「あっ、ごめんなさい。そうだね、怖いよね」 プックルがしょぼくれた時にするみたいに、よしよししてあげる。 「あっ……」 怖がっていた少女がだんだん落ち着いていく。 ■■■ 「落ちついた?」 「う…うん……ありがとう」 「よかった」 にこりと笑う少年。 さっき寝ている時は涙を見せていたのに、そんなそぶりは見せない。 驚くほど、澄んだ瞳。 「そうだ。自己紹介しなくっちゃ、サンチョに怒られちゃう。 ぼくはアベル。冒険者の、息子……だよ」 「あっ。ええと……香椎……愛莉、です」 「カシイ・アイリだね。よろしくアイリ」 「うん、こちらこそアベルくん」 ぺこりとお辞儀する。 「で、アイリ。その手に持ってるものは何?」 「え?これ?スマホだけど……。 そっか、アベルくんはまだ使い方がわからないか。 そのランドセル……バッグから、これと同じものを出してみて」 ―――スマホの地図の見方や時計の見方などを教えていくアイリ。 「すごいや。これも魔法のアイテムか何かなのかな?」 「ふふ、魔法?……うん、そうだね」 子供には魔法に見えるのかなと、少しだけ笑顔を取り戻す。 「そうだ、アベルくん……君の知り合いは、いるのかな?」 自分は【湊智花】【三沢真帆】【袴田ひなた】が友達として名簿に載っていると伝え、 名簿をアベルに見せる。 「え、えっと、その……まだ、文字読めなくて……」 恥ずかしそうに言うアベル。 (こんなことなら、サンチョのお勉強、ちゃんとやっておくんだった……) 「ああ、そっか……じゃあ、名前を言ってくれれば探すけど」 「ありがとう、アイリ。えっと、ヘンリーって言う名前は載ってる?あと、プックルって名前も」 「んー……」 指差し確認で探していく愛莉。 「……うん。どっちもいないみたいだよ」 「そっか、良かった……」 (それでもヘンリーは別のところに連れて行かれているのかもしれないけれど…… とりあえず、プックルはちゃんと逃げられたみたいだ。) ホッと胸を撫で下ろす。 「それと、他にもひとりずつ違ったものが配られるみたい。」 アベルが寝ている間に読んでおいたルールブックを愛莉はもう一度確認する。 「あたしのは、こんなのだったけど・・・」 と「AtOkara」と表紙に書かれたアルバムと、一緒についていたメモ帳とボールペンを見せる。 「それは?」 「えっと、過去の時刻と人の名前を書くと、その時の写真が出てくるんだって……」 「シャシン?」 「ああうん、写真って言うのはね。う、うーん…… その時の人の状況の絵が描かれるようなもの……かな?」 「へー、すごいな。それも魔法のアイテムなんだね」 愛莉はアベルに頷きつつ、未だ半信半疑である。 詳細が書かれたメモには2時間以上前でなければ使えないとあり、まだ使えないみたい。 2時間経ったら一応使ってみようと考えてみる。 「アベルくんも、探してみたら?」 「うん!」 ごそごそとランドセルをアベルが漁ると、一本の剣を取りだす。 「ひっ……!」 『殺し合いの道具』が出てきたことで、愛莉はまた怯える。 「剣……だね」 明らかに大人が使うような剣を持ちあげるアベル。 ―――青と白とで輝く、真っ直ぐな剣。 どうのつるぎや、てつのつえを振ってきたぼくにとっても、重く感じるものだけれど…… 父パパスが愛剣に込めていたような、強い意志の力を剣から感じる。 この剣を使っていた人の、真っ直ぐな心が背筋を伸ばさせる。 お父さんなら…… 剣を持ち想いを馳せるアベルを見て、 明らかに幼児の『それ』とは違う、気迫と覚悟が伝わってくる。 「アベルくん……」 (ビアンカと一緒に冒険した証、ゴールドオーブも、あのバッグにはなかった。 ……当然だ。あれはゲマに寄って粉砕されてしまったのだから。 父も、友も、思い出の宝物も。 全部アイツに消されてしまったんだ。 ―――今はまだ、勝てない。 たくさん経験を積んで、強くならないといけない。 あの父のように。 誇り高く……) 重い剣を片手で掲げて、父に誓う。 スタジアムのライトに照らされて、剣が応えるかのように光り輝く。 「行こうか、アイリ。 ……この島を抜け出る方法を、調べないと」 「う、うん」 ―――あの大きな背中に追いつくため。その一歩を踏み出し始める。 【C-2 東都スタジアム/深夜】 【アベル(主人公・幼年時代)@ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁】 [状態]:健康 [装備]:転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン)@Fate/EXTRA CCC [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2 [思考・行動] 基本方針:この島から抜け出して母を探す。どんな状況でも父の誇りを汚したりしない。 1:この島の脱出方法の調査。 2:アイリを守り、アイリの友達を見つける。 ※パパス死亡後、ゲマによる教団の奴隷化直後からの参戦です。 ※参加者は皆奴隷として連れてこられたのだと思っています。 ※ビアンカについて既に知己ですが、参加自体をまだ把握していません。 【香椎愛莉@ロウきゅーぶ!】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2 あとからアルバム@ドラえもん@10回、メモ帳、ボールペン [思考・行動] 基本方針:帰りたい。みんなに会いたい。 1:アベルについていく。 2:智花ちゃん達に会いたい。 3:アルバムってちゃんと使えるのかな? 【転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン)@Fate/EXTRA CCC】 アベルに支給。 忠義の騎士、太陽の騎士として名高い英霊ガウェイン卿の持つ太陽の聖剣。 柄に擬似太陽が納められた日輪の剣であり、神造兵装の一振り。 エクスカリバーの姉妹剣であるとされており、かつ負債を回収するものでもある。 【あとからアルバム@ドラえもん】 香椎愛莉に支給。 「AtOkara」と表紙に書かれたアルバム状の道具。 名前と時間を書いた紙をアルバムに挟み、3分待ってアルバムを開けば、そのときの出来事が写真となって出てくる。 制限により、舞台の島のみの行動に限定される。 また、2時間以上前の指定でなければ発動しない。10回で機能停止となる。 【1日目:01 00:香椎愛莉】 という風に書く。メモ帳とボールペン付き。 ≪024 時空を超えた因果 時系列順に読む 026 のび太のバトロワクエスト≫ ≪024 時空を超えた因果 投下順に読む 026 のび太のバトロワクエスト≫ アベルの登場SSを読む 034 moment≫ 香椎愛莉の登場SSを読む
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象の背中 登場人物 コメント 秋元康の小説作品及び、それを原作とした日本の漫画・絵本・アニメ・映画・テレビドラマ作品。 登場人物 グレイシア:藤山はるか 某ヒロインの名前から コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
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「不思議のダンジョン2 風来のシレン」で出てくるアイテム。 なんと中に背中(!)が入っている。おまけに押すことができ、押すと体力が回復したり健康になったりする。 ツボ押しとかけたシャレ。 ニコニコワールドでは第五幕で登場する。効果は原作通り。
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背中ニキビ予防 顔と違って汗をかいてもそのままに してしまうケースが多くないですか? 汗をかくと細菌が増殖しニキビを作ってしまいます。 汗をかいても吸い取りにくい 化学繊維の下着や ブラジャーをきつく締め付けるなど 汗のたまりやすい着衣は、避けましょう。 人は、就寝時にも汗をかきますが、 前述のような下着ですと 汗をためてしまいますので 細菌の増殖しやすい環境を作ることになります。 また洗髪時のシャンプーやリンスの洗い残しが 背中にたまると毛穴を詰まらせ ニキビを作る原因になります。 特に首下は、リンス後に たまりやすい場所ですので注意が必要です。 背中ニキビjは、外見には、気になりませんが、 一度出来てしまうと思うように ケアしにくい場所なので 作りたくない場所ですよね。 出来てしまう前にしっかり予防しましょうね。
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オススメ記事 VVANNA攻略 背中アクセ ワンピース きらめきパラダイス(キラパラ)のファッションカテゴリ「背中アクセ」についてまとめたページです。スタイル、タグ別に並び替えも出来るので参考にどうぞ! 目次 アイテム一覧星6 星5 星4 星3 カテゴリ一覧 アイテム一覧 星6 ▼チェックボックスで列の表示・非表示を切り替えられます スタイル1 スタイル2 タグ1 タグ2 入手先 名前 スタイル1 スタイル2 タグ1 タグ2 入手先 惑える霧の鏡 ク|ル 華麗 ゴシック メルヘン 素直な私 目次へ 星5 ▼チェックボックスで列の表示・非表示を切り替えられます スタイル1 スタイル2 タグ1 タグ2 入手先 名前 スタイル1 スタイル2 タグ1 タグ2 入手先 学びの海の格言 優雅 甘い アカデミ| - 占い物語・スターライト編 夜空の星 活発 ク|ル アイドル ロリ|タ 最愛 目次へ 星4 ▼チェックボックスで列の表示・非表示を切り替えられます スタイル1 スタイル2 タグ1 タグ2 入手先 名前 スタイル1 スタイル2 タグ1 タグ2 入手先 スイートベア 清純 甘い メルヘン - 名刺作成キャンペーン 雪花の鶴 清純 優雅 中華風 - シュウ・白塔の歌 目次へ 星3 ▼チェックボックスで列の表示・非表示を切り替えられます スタイル1 スタイル2 タグ1 タグ2 入手先 名前 スタイル1 スタイル2 タグ1 タグ2 入手先 目次へ カテゴリ一覧 メイク ファッション アクセ 目次へ
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「本当は誰も入れるべきではないんだけれど、あなたを信用します。あなたなら大丈夫だと。古い付き合いだしね。だけど、花嫁におかしなことをしたら、許さないわよ。」 今日はあたしの結婚式。 人生の門出。 あたしは古泉君と結ばれる。 大学を卒業して就職したあと、古泉君に告白された。 三年ほどおつき合いをしてプロポーズされた。 SOS団は不滅だと言っていたけど、あたしが高校を卒業すると同時にみくるちゃんは遠い外国に行ってしまった。 有希は、あたしが知らない間に行方不明になっていた。あのマンションの部屋はいつのまにか何ひとつなくなっていた。 今あたしのそばにいるのは……。 「もう一度いいます。わたしは最後まで反対しました。しかしどうしても娘があなたに会いたいと。だから私はあなたを信用しました。決して花嫁におかしな真似をしないで下さい。」 ここは、ホテルの部屋。 あたしは、豪華な椅子に座っている。 大理石の床に高い天井。大きなシャンデリア。 大きな鏡がある。全身を映す鏡。 純白のウェディングドレスをまとった、あたしを映している鏡。 ママがキョンにしつこく念を押している。 馬鹿ね。 鏡の中のあたしがクスリと笑った。 そんなに心配しなくても、あいつがあたしに変なことなんかできるわけがないのに。 「涼宮さん」 キョンの声が聞こえた。 久しぶりに聞く声。 やっぱり大人になったのね。 太くて、練れた声。 男の声。 あたしは鏡から目を離して、頑丈そうな木の扉を見た。 「あなたは、俺を信用しているのですか。信用していないのですか。」 「何を言っているのですか。あなたを信用していると言ったでしょう。だから新郎以外決して入れるべきではない所にあなたを案内しようとしているのです。あなたは拗ねているのですか。ここに新郎以外の男性を入れることの意味がわかっているのですか。そんなことを言うのなら、やはり信用すべきではないですね。」 「あなたが俺を信用するのならば、何も言わずにここに俺を連れてくるべきでした。信用しないのならばこんな所に俺を連れてくるべきじゃなかった。違いますか。」 キョンったら、理屈っぽいところは変わってないのね。だけどそんなことを言ったら逆効果よ。ほら、親父が露骨に舌打ちをしているわ。 「あなたねえ、いい加減にしてちょうだい。あなたを信用しているって言ったでしょう。だけど万一のことがあったら困るから、釘を刺しただけ。わかりますね!」 「あなたは、俺を信用するのなら、信用したことについて責任を負うべきだ。 ここに俺を連れてきて何があったとしても自分で責めを負うだけのね。 あなたが信用しないというなら、信用しないことについての責任を取るべきだ。 あいつがあきらめるまで反対するべきだ。」 何だか様子がおかしい。 キョン…、何言ってるの? やっぱり拗ねてるの? あたしに、会いたくないの? 「俺には何の責任もない。 俺は古泉一樹君と涼宮ハルヒさんの門出を祝福するだけのためにここに来た。 俺は二人の友人です。それ以外のものでは決してありません。 俺がここでやるべきことはご祝儀を持ってくることと、披露宴を盛り上げることだけ。 違いますか。 俺には何の責任もありません。あなたがあいつに反対しきれなかったことに対する責任を負うつもりは毛頭ありません。 ではもう一度聞きます。 何の責任も負っていない俺を信用するんですか。しないんですか? 責任を持って決めて下さい。」 ママ、お願い! キョンを信用するって言って! あいつがあたしに乱暴したりするわけないわ! あたしはどうしてもあいつに会わなきゃならないの! ママが息を飲む音が聞こえた。 「失礼をお許し下さい。どうぞ娘に会ってやって下さい。お願いいたします。」 数秒間、誰も何も言わなかった。親父も我慢しているらしい。 「バカだ、おまえら。親子そろって大バカだ!」 「なんだと、小僧、いい加減に……。」 親父の声が聞こえる。親父がキョンを殴るかもしれない。 「いい加減にしてほしいのはこっちだ! ハルヒもバカだが、親はもっとバカだ! 高校生のころから知っているからっていつまでも人を高校生のガキ扱いするんじゃねえ! これだけ言ってもまだ俺を花嫁の仕度部屋に入れようとするのか! あんたらがすべきことは、おまえは信用できないと言って、俺をここから追い払うことだ!」 「…大人だったらわかるだろう。おまえ、花嫁になんかしたら大恥かくことに…。」 「それで俺が大恥かいたら古泉がなんと思う? あいつが傷つかないとでも思ったのか! 何事もなかったとしても、それがあいつに対する裏切りだとは思わないのか! それがあいつに知られたとしても、きっとあいつは許すだろう。 だったらそれでいいのか? 許してくれるんだったら裏切ってもいいのか? あいつはもう高校生のガキじゃねえ! 立派な大人だ! これからハルヒを養っていく、一家の主だ!」 あの強面親父が完全に気圧されている。 映画撮影の時にあたしを惚れ直させた、本気のあいつ。 あたしが絶対にやっちゃいけないことをしたら、本気で怒ってくれる、キョン。 だけど今、そんなことを感じさせられたら、覚悟が…。 キョン、ここに来てくれないの? あたし、あんたに「あの言葉」を言ってもらえたら、覚悟を決められるはずなのに…。 「ハルヒがなんかしてほしいんだったら古泉にやらせろ! なんでただの友人の俺にやらせるんだ! 俺の友人としての立ち位置はあいつが決めたことだ! 自分で決めたことだ! 一人で決めたことだ! 花嫁の仕度部屋でやらせるようなことだったらどんなことであれ古泉にやらせろ! 頭おかしいのか、おまえらは! こんなこと、言い出す方も言い出す方だが、伝える方も伝える方だ! こんな親に育てられたから、ハルヒもあそこまで傲岸不遜なバカ女になっちまったんだ!」 キョンは、ここに来てくれない。ここに入ってきてくれない…。 「だいたいこんなことを聞かされて、俺が冷静でいられるとでも思ったのか! ちったあ、他人の、俺の気持ちっていうものを考えやがれ!」 俺の気持ち? あいつの、気持ち…。 あたしは椅子から立ち上がった。 ドレスの裾がまとわりついて走りにくい。 あたし、なんでこんなもの着てるんだろう? 突進するようにドアを開けた。 同時にキョンが背中を向けた。 廊下に両親が真っ青な顔をして立ちつくしているのが見える。 そんなことはどうでもいい。 「ハルヒ、それは古泉に最初に見せろ。」 キョンは、あたしに礼服の背中を向けたまま言った。 なんでこんなことになっちゃったんだろう。 ずっとこいつのことが好きだった。 だけどあたしはこいつにつらく当たってきた。 それでもこいつはあたしについてきてくれた。 あたしはこいつにつらく当たりつづけた。 きっと、許してくれていると確認したかったから。 まだ、見捨てられていないと確認したかったから。 そうしないと、もう見捨てられたのかもしれないと怖かったから。 こんなあたしを、こいつが好きになってくれるはずがないと思っていた。 ずっとあたしの片思いだと思っていた。 そうじゃないと気づいた時には遅すぎた。 両家の結婚話は、もう後戻りのできない段階に入っていた。 あたしのわがままが通るような状況ではなかった。 そんな段階ではなかったから? 違う。 たとえ裏切ったとしても、古泉君は許してくれたと思う。 両親は、許してくれたかどうかはわからないが、許してくれなくてもかまわなかった。 だけど、キョンが許してくれるはずがなかった。 あたしが古泉君を裏切ることを、キョンが許すはずがなかった。 だから、あたしは覚悟を決めた。 もう、キョンのそばにいられなくても仕方がないと覚悟を決めた。 決めた、はずだった。 だけど不安だった。 だからキョンに「あの言葉」を言ってもらえればふっきれると思った。 最後に「あの言葉」を言ってもらいたかった。 「あの言葉」をもらえさえすれば、未練がなくなると思った。 「おまえが今やろうとしていたことは決して許されることじゃない。」 そう。誰が見たって、決して褒めてくれない行為。 なんで、こんなことしようとしたんだろう。 答えは、はっきりしている。 こいつがそばにいなかったから。 こいつのそばにいなかったから。 あたしは、こいつがそばにいなきゃダメだ。 そんなこと、ずっと昔からわかっていた。 くしゃりと視界が歪んだ。 大粒の涙が後から後からこぼれ落ちてくる。 覚悟が…、あんたのそばにはもういられないという覚悟が…、覚悟が、覚悟が! 「泣くなよ! おまえがもしここで泣いたら、古泉への最大の侮辱だ。そんなことは……俺が許さん!」 そうだ、覚悟なんかはじめから無かった。 覚悟を決めたつもりだっただけ。 いや、そうですらない。 覚悟を決めたと自分に言い聞かせただけ。 「あの言葉」を聞けば覚悟が固められるなんて嘘。 ただ、こいつにそう言ってほしかっただけ! 「泣くんだったら…、古泉の前で泣け。」 あいつの手を見た。 何回も何回もつかんだ手。 嵐の中で初めて握り返してくれた手。 あたしが崖から落ちても離そうとしなかった手。 後悔…、後悔、後悔、後悔! もう一度あのころにもどりたい! 毎日こいつの背中を見ていたあのころに…。 毎日こいつの声を聞いていたあのころに…。 あたりまえのようにこいつのそばにいられたあのころに…。 神様、今まで一度も信じたことなんかなかったのに虫が良すぎるけど、たった一つのお願い! あたしをあの、北高の部室にもどして! 「じゃあな、披露宴のキャンドルサービスで会おう。」 あいつの背中が遠ざかっていく。 それを追いかけることは許されない。 キョンが、許してくれない。 大好きな背中。 ずっと見ていた背中。 ずっと見ていたい背中。 なんで、しがみつかなかったんだろう。 なにが邪魔したんだろう。 みんなに美人だともてはやされていたプライド? 勉強もスポーツも音楽さえもあいつより優れているという自己満足? 平凡な容姿のあいつと結ばれるのは嫌だという女の見栄? 違う。 そんなものじゃない。 そんなもの、この背中に比べれば、ジュースの空き缶ほどの価値もない。 勇気が、足りなかっただけ。 それさえも、嘘。 勇気を、ふりしぼらなかっただけ! こいつにしがみついて振り払われるのが怖かった。 ただそれだけ。 こんなに大事なものだとわかっていたなら、何回振り払われてでもしがみつくべきだった! こいつが「やれやれ、しょうがないな」と言ってあたしを背中に乗せてくれるまで、何度でもしがみつけばよかった! 「おまえをこう呼ぶのも最後になるな。」 キョンが扉を開ける。 この廊下からさえも出ていく。 あの夜の校庭で、あたしだけをつれて駆けた背中が、あたしの前から消えようとしている。 せっかく、出会えたのに! この広い世界で、キョンに出会えたのに! 「おれは断じて見ていない。断じて見ていないが…、やっぱり意地があるようだ。…これだけは言わせてくれ。」 いや…、あれほど聞きたかった言葉だけど、今は聞くのが怖い。 そう。あたしの生涯でいちばん大切な思い出。 あたしにとって宝物のような、宝石みたいな思い出。 今それを聞いてしまったら…あたし…。 「ハルヒ。」 「…なに。」 「似合ってるぞ。」 扉がパタンと閉じた。 パソコンのディスプレーが見える。 電源は…、落ちているみたいだ。何も映っていない。 夕方のようだ。後ろに窓があるのだろうか。夕陽が照りつけている。 ディスプレーの向こうに、長机が見える。 その先に、ボロボロの扉が見える。 見慣れた場所のような気もするし、ひどく懐かしい場所のような気もする。 自分の体を見てみた。 北高のセーラー服を着ている! 左袖…。 見間違うはずもない! 真っ赤なSOS団団長の腕章! だけど…、まだ安心できない! そうだ! 学生カバンの中を必死に探る。 あった! あのホテルの部屋にあったバカでかい代物とは全く違う、高校生の身の丈にあった粗末な鏡。 意を決して見る! 涙と鼻水でボロボロのひどい顔をしている。だけどそんなことはどうだっていい! あたしの髪には、あのティアラとかいう用途不明の装飾品ではなく、黄色いリボン付きカチューシャがはめられていた。 悪い夢を見ていたのだろうか…。 それとも、神様があたしのたった一度のお願いを聞いてくれたのだろうか。 そう言えば、今日一日授業を受けた後団活をして、団長机で居眠りをしてしまったような記憶がある。 だけど、高校を卒業して大学に進み、就職をして古泉君と交際をして…、という記憶もあるような気がする。 どっちでもいい。 あたしは、ここにいる。 北高の部室にいる。 ここにいる…はず。 自信がない。 あれは、夢なんかじゃなかった。 そう、あれはきっと、もう一つの現実。 体の震えがまだ止まらない。 あれが現実で、今あたしが見ているのが、ホテルの救護室で見ている夢だったら… 深く考えるのが怖い。 立ってあの扉を開けるのが怖い。 やっぱりあたしは臆病ものだ。 勇気をふりしぼることができない。 あの扉の向こうのどこにも、キョンがいなかったらと思うと怖い。 なんでこんなに怖いんだろう。 キョンが、あたしのいる部屋に入ってこなかったせいだ。 キョンが、あたしを廊下に残して、後ろ手にドアを閉めてしまったせいだ。 キョンがあの扉を開けて、ここに入ってくるまでは安心できな……。 ガチャ。 「ハルヒ、起きたか? 他の三人は帰ったぞ。コーヒー買ってきたんだけど飲むか? 一本しかないから半分こな。まあ、おまえに半分と言ってもほとんど飲まれちまう…。」 さっきまでの焦燥と不安がみるみる消えていく。 胸の辺りから生まれた安心感がゆっくりと全身を包みこむ。 あたしは、声に出して言っていた。 「か、か、かみざま……、あ…、あじがどう……。」 「バカだ、おまえら。親子そろって大バカだ!」 「なんだと、小僧、いい加減に……。」 親父の声が聞こえる。親父がキョンを殴るかもしれない。 「いい加減にしてほしいのはこっちだ! ハルヒもバカだが、親はもっとバカだ! 高校生のころから知っているからっていつまでも人を高校生のガキ扱いするんじゃねえ! これだけ言ってもまだ俺を花嫁の仕度部屋に入れようとするのか! あんたらがすべきことは、おまえは信用できないと言って、俺をここから追い払うことだ!」 「…大人だったらわかるだろう。おまえ、花嫁になんかしたら大恥かくことに…。」 「それで俺が大恥かいたら古泉がなんと思う? あいつが傷つかないとでも思ったのか! 何事もなかったとしても、それがあいつに対する裏切りだとは思わないのか! それがあいつに知られたとしても、きっとあいつは許すだろう。 だったらそれでいいのか? 許してくれるんだったら裏切ってもいいのか? あいつはもう高校生のガキじゃねえ! 立派な大人だ! これからハルヒを養っていく、一家の主だ!」 あの強面親父が完全に気圧されている。 映画撮影の時にあたしを惚れ直させた、本気のあいつ。 あたしが絶対にやっちゃいけないことをしたら、本気で怒ってくれる、キョン。 だけど今、そんなことを感じさせられたら、覚悟が…。 キョン、ここに来てくれないの? あたし、あんたに「あの言葉」を言ってもらえたら、覚悟を決められるはずなのに…。 「ハルヒがなんかしてほしいんだったら古泉にやらせろ! なんでただの友人の俺にやらせるんだ! 俺の友人としての立ち位置はあいつが決めたことだ! 自分で決めたことだ! 一人で決めたことだ! 花嫁の仕度部屋でやらせるようなことだったらどんなことであれ古泉にやらせろ! 頭おかしいのか、おまえらは! こんなこと、言い出す方も言い出す方だが、伝える方も伝える方だ! こんな親に育てられたから、ハルヒもあそこまで傲岸不遜なバカ女になっちまったんだ!」 キョンは、ここに来てくれない。ここに入ってきてくれない…。 「だいたいこんなことを聞かされて、俺が冷静でいられるとでも思ったのか! ちったあ、他人の、俺の気持ちっていうものを考えやがれ!」 俺の気持ち? あいつの、気持ち…。 あたしは椅子から立ち上がった。 ドレスの裾がまとわりついて走りにくい。 あたし、なんでこんなもの着てるんだろう? 突進するようにドアを開けた。 同時にキョンが背中を向けた。 廊下に両親が真っ青な顔をして立ちつくしているのが見える。 そんなことはどうでもいい。 「ハルヒ、それは古泉に最初に見せろ。」 キョンは、あたしに礼服の背中を向けたまま言った。 なんでこんなことになっちゃったんだろう。 ずっとこいつのことが好きだった。 だけどあたしはこいつにつらく当たってきた。 それでもこいつはあたしについてきてくれた。 あたしはこいつにつらく当たりつづけた。 きっと、許してくれていると確認したかったから。 まだ、見捨てられていないと確認したかったから。 そうしないと、もう見捨てられたのかもしれないと怖かったから。 こんなあたしを、こいつが好きになってくれるはずがないと思っていた。 ずっとあたしの片思いだと思っていた。 そうじゃないと気づいた時には遅すぎた。 両家の結婚話は、もう後戻りのできない段階に入っていた。 あたしのわがままが通るような状況ではなかった。 そんな段階ではなかったから? 違う。 たとえ裏切ったとしても、古泉君は許してくれたと思う。 両親は、許してくれたかどうかはわからないが、許してくれなくてもかまわなかった。 だけど、キョンが許してくれるはずがなかった。 あたしが古泉君を裏切ることを、キョンが許すはずがなかった。 だから、あたしは覚悟を決めた。 もう、キョンのそばにいられなくても仕方がないと覚悟を決めた。 決めた、はずだった。 だけど不安だった。 だからキョンに「あの言葉」を言ってもらえればふっきれると思った。 最後に「あの言葉」を言ってもらいたかった。 「あの言葉」をもらえさえすれば、未練がなくなると思った。 「おまえが今やろうとしていたことは決して許されることじゃない。」 そう。誰が見たって、決して褒めてくれない行為。 なんで、こんなことしようとしたんだろう。 答えは、はっきりしている。 こいつがそばにいなかったから。 こいつのそばにいなかったから。 あたしは、こいつがそばにいなきゃダメだ。 そんなこと、ずっと昔からわかっていた。 くしゃりと視界が歪んだ。 大粒の涙が後から後からこぼれ落ちてくる。 覚悟が…、あんたのそばにはもういられないという覚悟が…、覚悟が、覚悟が! 「泣くなよ! おまえがもしここで泣いたら、古泉への最大の侮辱だ。そんなことは……俺が許さん!」 そうだ、覚悟なんかはじめから無かった。 覚悟を決めたつもりだっただけ。 いや、そうですらない。 覚悟を決めたと自分に言い聞かせただけ。 「あの言葉」を聞けば覚悟が固められるなんて嘘。 ただ、こいつにそう言ってほしかっただけ! 「泣くんだったら…、古泉の前で泣け。」 あいつの手を見た。 何回も何回もつかんだ手。 嵐の中で初めて握り返してくれた手。 あたしが崖から落ちても離そうとしなかった手。 後悔…、後悔、後悔、後悔! もう一度あのころにもどりたい! 毎日こいつの背中を見ていたあのころに…。 毎日こいつの声を聞いていたあのころに…。 あたりまえのようにこいつのそばにいられたあのころに…。 神様、今まで一度も信じたことなんかなかったのに虫が良すぎるけど、たった一つのお願い! あたしをあの、北高の部室にもどして! 「じゃあな、披露宴のキャンドルサービスで会おう。」 あいつの背中が遠ざかっていく。 それを追いかけることは許されない。 キョンが、許してくれない。 大好きな背中。 ずっと見ていた背中。 ずっと見ていたい背中。 なんで、しがみつかなかったんだろう。 なにが邪魔したんだろう。 みんなに美人だともてはやされていたプライド? 勉強もスポーツも音楽さえもあいつより優れているという自己満足? 平凡な容姿のあいつと結ばれるのは嫌だという女の見栄? 違う。 そんなものじゃない。 そんなもの、この背中に比べれば、ジュースの空き缶ほどの価値もない。 勇気が、足りなかっただけ。 それさえも、嘘。 勇気を、ふりしぼらなかっただけ! こいつにしがみついて振り払われるのが怖かった。 ただそれだけ。 こんなに大事なものだとわかっていたなら、何回振り払われてでもしがみつくべきだった! こいつが「やれやれ、しょうがないな」と言ってあたしを背中に乗せてくれるまで、何度でもしがみつけばよかった! 「おまえをこう呼ぶのも最後になるな。」 キョンが扉を開ける。 この廊下からさえも出ていく。 あの夜の校庭で、あたしだけをつれて駆けた背中が、あたしの前から消えようとしている。 せっかく、出会えたのに! この広い世界で、キョンに出会えたのに! 「おれは断じて見ていない。断じて見ていないが…、やっぱり意地があるようだ。…これだけは言わせてくれ。」 いや…、あれほど聞きたかった言葉だけど、今は聞くのが怖い。 そう。あたしの生涯でいちばん大切な思い出。 あたしにとって宝物のような、宝石みたいな思い出。 今それを聞いてしまったら…あたし…。 「ハルヒ。」 「…なに。」 「似合ってるぞ。」 扉がパタンと閉じた。 パソコンのディスプレーが見える。 電源は…、落ちているみたいだ。何も映っていない。 夕方のようだ。後ろに窓があるのだろうか。夕陽が照りつけている。 ディスプレーの向こうに、長机が見える。 その先に、ボロボロの扉が見える。 見慣れた場所のような気もするし、ひどく懐かしい場所のような気もする。 自分の体を見てみた。 北高のセーラー服を着ている! 左袖…。 見間違うはずもない! 真っ赤なSOS団団長の腕章! だけど…、まだ安心できない! そうだ! 学生カバンの中を必死に探る。 あった! あのホテルの部屋にあったバカでかい代物とは全く違う、高校生の身の丈にあった粗末な鏡。 意を決して見る! 涙と鼻水でボロボロのひどい顔をしている。だけどそんなことはどうだっていい! あたしの髪には、あのティアラとかいう用途不明の装飾品ではなく、黄色いリボン付きカチューシャがはめられていた。 悪い夢を見ていたのだろうか…。 それとも、神様があたしのたった一度のお願いを聞いてくれたのだろうか。 そう言えば、今日一日授業を受けた後団活をして、団長机で居眠りをしてしまったような記憶がある。 だけど、高校を卒業して大学に進み、就職をして古泉君と交際をして…、という記憶もあるような気がする。 どっちでもいい。 あたしは、ここにいる。 北高の部室にいる。 ここにいる…はず。 自信がない。 あれは、夢なんかじゃなかった。 そう、あれはきっと、もう一つの現実。 体の震えがまだ止まらない。 あれが現実で、今あたしが見ているのが、ホテルの救護室で見ている夢だったら… 深く考えるのが怖い。 立ってあの扉を開けるのが怖い。 やっぱりあたしは臆病ものだ。 勇気をふりしぼることができない。 あの扉の向こうのどこにも、キョンがいなかったらと思うと怖い。 なんでこんなに怖いんだろう。 キョンが、あたしのいる部屋に入ってこなかったせいだ。 キョンが、あたしを廊下に残して、後ろ手にドアを閉めてしまったせいだ。 キョンがあの扉を開けて、ここに入ってくるまでは安心できな……。 ガチャ。 「ハルヒ、起きたか? 他の三人は帰ったぞ。コーヒー買ってきたんだけど飲むか? 一本しかないから半分こな。まあ、おまえに半分と言ってもほとんど飲まれちまう…。」 さっきまでの焦燥と不安がみるみる消えていく。 胸の辺りから生まれた安心感がゆっくりと全身を包みこむ。 あたしは、声に出して言っていた。 「か、か、かみざま……、あ…、あじがどう……。」 「本当は誰も入れるべきではないんだけれど、あなたを信用します。あなたなら大丈夫だと。古い付き合いだしね。だけど、花嫁におかしなことをしたら、許さないわよ。」 今日はあたしの結婚式。 人生の門出。 あたしは古泉君と結ばれる。 大学を卒業して就職したあと、古泉君に告白された。 三年ほどおつき合いをしてプロポーズされた。 SOS団は不滅だと言っていたけど、あたしが高校を卒業すると同時にみくるちゃんは遠い外国に行ってしまった。 有希は、あたしが知らない間に行方不明になっていた。あのマンションの部屋はいつのまにか何ひとつなくなっていた。 今あたしのそばにいるのは……。 「もう一度いいます。わたしは最後まで反対しました。しかしどうしても娘があなたに会いたいと。だから私はあなたを信用しました。決して花嫁におかしな真似をしないで下さい。」 ここは、ホテルの部屋。 あたしは、豪華な椅子に座っている。 大理石の床に高い天井。大きなシャンデリア。 大きな鏡がある。全身を映す鏡。 純白のウェディングドレスをまとった、あたしを映している鏡。 ママがキョンにしつこく念を押している。 馬鹿ね。 鏡の中のあたしがクスリと笑った。 そんなに心配しなくても、あいつがあたしに変なことなんかできるわけがないのに。 「涼宮さん」 キョンの声が聞こえた。 久しぶりに聞く声。 やっぱり大人になったのね。 太くて、練れた声。 男の声。 あたしは鏡から目を離して、頑丈そうな木の扉を見た。 「あなたは、俺を信用しているのですか。信用していないのですか。」 「何を言っているのですか。あなたを信用していると言ったでしょう。だから新郎以外決して入れるべきではない所にあなたを案内しようとしているのです。あなたは拗ねているのですか。ここに新郎以外の男性を入れることの意味がわかっているのですか。そんなことを言うのなら、やはり信用すべきではないですね。」 「あなたが俺を信用するのならば、何も言わずにここに俺を連れてくるべきでした。信用しないのならばこんな所に俺を連れてくるべきじゃなかった。違いますか。」 キョンったら、理屈っぽいところは変わってないのね。だけどそんなことを言ったら逆効果よ。ほら、親父が露骨に舌打ちをしているわ。 「あなたねえ、いい加減にしてちょうだい。あなたを信用しているって言ったでしょう。だけど万一のことがあったら困るから、釘を刺しただけ。わかりますね!」 「あなたは、俺を信用するのなら、信用したことについて責任を負うべきだ。 ここに俺を連れてきて何があったとしても自分で責めを負うだけのね。 あなたが信用しないというなら、信用しないことについての責任を取るべきだ。 あいつがあきらめるまで反対するべきだ。」 何だか様子がおかしい。 キョン…、何言ってるの? やっぱり拗ねてるの? あたしに、会いたくないの? 「俺には何の責任もない。 俺は古泉一樹君と涼宮ハルヒさんの門出を祝福するだけのためにここに来た。 俺は二人の友人です。それ以外のものでは決してありません。 俺がここでやるべきことはご祝儀を持ってくることと、披露宴を盛り上げることだけ。 違いますか。 俺には何の責任もありません。あなたがあいつに反対しきれなかったことに対する責任を負うつもりは毛頭ありません。 ではもう一度聞きます。 何の責任も負っていない俺を信用するんですか。しないんですか? 責任を持って決めて下さい。」 ママ、お願い! キョンを信用するって言って! あいつがあたしに乱暴したりするわけないわ! あたしはどうしてもあいつに会わなきゃならないの! ママが息を飲む音が聞こえた。 「失礼をお許し下さい。どうぞ娘に会ってやって下さい。お願いいたします。」 数秒間、誰も何も言わなかった。親父も我慢しているらしい。 「バカだ、おまえら。親子そろって大バカだ!」 「なんだと、小僧、いい加減に……。」 親父の声が聞こえる。親父がキョンを殴るかもしれない。 「いい加減にしてほしいのはこっちだ! ハルヒもバカだが、親はもっとバカだ! 高校生のころから知っているからっていつまでも人を高校生のガキ扱いするんじゃねえ! これだけ言ってもまだ俺を花嫁の仕度部屋に入れようとするのか! あんたらがすべきことは、おまえは信用できないと言って、俺をここから追い払うことだ!」 「…大人だったらわかるだろう。おまえ、花嫁になんかしたら大恥かくことに…。」 「それで俺が大恥かいたら古泉がなんと思う? あいつが傷つかないとでも思ったのか! 何事もなかったとしても、それがあいつに対する裏切りだとは思わないのか! それがあいつに知られたとしても、きっとあいつは許すだろう。 だったらそれでいいのか? 許してくれるんだったら裏切ってもいいのか? あいつはもう高校生のガキじゃねえ! 立派な大人だ! これからハルヒを養っていく、一家の主だ!」 あの強面親父が完全に気圧されている。 映画撮影の時にあたしを惚れ直させた、本気のあいつ。 あたしが絶対にやっちゃいけないことをしたら、本気で怒ってくれる、キョン。 だけど今、そんなことを感じさせられたら、覚悟が…。 キョン、ここに来てくれないの? あたし、あんたに「あの言葉」を言ってもらえたら、覚悟を決められるはずなのに…。 「ハルヒがなんかしてほしいんだったら古泉にやらせろ! なんでただの友人の俺にやらせるんだ! 俺の友人としての立ち位置はあいつが決めたことだ! 自分で決めたことだ! 一人で決めたことだ! 花嫁の仕度部屋でやらせるようなことだったらどんなことであれ古泉にやらせろ! 頭おかしいのか、おまえらは! こんなこと、言い出す方も言い出す方だが、伝える方も伝える方だ! こんな親に育てられたから、ハルヒもあそこまで傲岸不遜なバカ女になっちまったんだ!」 キョンは、ここに来てくれない。ここに入ってきてくれない…。 「だいたいこんなことを聞かされて、俺が冷静でいられるとでも思ったのか! ちったあ、他人の、俺の気持ちっていうものを考えやがれ!」 俺の気持ち? あいつの、気持ち…。 あたしは椅子から立ち上がった。 ドレスの裾がまとわりついて走りにくい。 あたし、なんでこんなもの着てるんだろう? 突進するようにドアを開けた。 同時にキョンが背中を向けた。 廊下に両親が真っ青な顔をして立ちつくしているのが見える。 そんなことはどうでもいい。 「ハルヒ、それは古泉に最初に見せろ。」 キョンは、あたしに礼服の背中を向けたまま言った。 なんでこんなことになっちゃったんだろう。 ずっとこいつのことが好きだった。 だけどあたしはこいつにつらく当たってきた。 それでもこいつはあたしについてきてくれた。 あたしはこいつにつらく当たりつづけた。 きっと、許してくれていると確認したかったから。 まだ、見捨てられていないと確認したかったから。 そうしないと、もう見捨てられたのかもしれないと怖かったから。 こんなあたしを、こいつが好きになってくれるはずがないと思っていた。 ずっとあたしの片思いだと思っていた。 そうじゃないと気づいた時には遅すぎた。 両家の結婚話は、もう後戻りのできない段階に入っていた。 あたしのわがままが通るような状況ではなかった。 そんな段階ではなかったから? 違う。 たとえ裏切ったとしても、古泉君は許してくれたと思う。 両親は、許してくれたかどうかはわからないが、許してくれなくてもかまわなかった。 だけど、キョンが許してくれるはずがなかった。 あたしが古泉君を裏切ることを、キョンが許すはずがなかった。 だから、あたしは覚悟を決めた。 もう、キョンのそばにいられなくても仕方がないと覚悟を決めた。 決めた、はずだった。 だけど不安だった。 だからキョンに「あの言葉」を言ってもらえればふっきれると思った。 最後に「あの言葉」を言ってもらいたかった。 「あの言葉」をもらえさえすれば、未練がなくなると思った。 「おまえが今やろうとしていたことは決して許されることじゃない。」 そう。誰が見たって、決して褒めてくれない行為。 なんで、こんなことしようとしたんだろう。 答えは、はっきりしている。 こいつがそばにいなかったから。 こいつのそばにいなかったから。 あたしは、こいつがそばにいなきゃダメだ。 そんなこと、ずっと昔からわかっていた。 くしゃりと視界が歪んだ。 大粒の涙が後から後からこぼれ落ちてくる。 覚悟が…、あんたのそばにはもういられないという覚悟が…、覚悟が、覚悟が! 「泣くなよ! おまえがもしここで泣いたら、古泉への最大の侮辱だ。そんなことは……俺が許さん!」 そうだ、覚悟なんかはじめから無かった。 覚悟を決めたつもりだっただけ。 いや、そうですらない。 覚悟を決めたと自分に言い聞かせただけ。 「あの言葉」を聞けば覚悟が固められるなんて嘘。 ただ、こいつにそう言ってほしかっただけ! 「泣くんだったら…、古泉の前で泣け。」 あいつの手を見た。 何回も何回もつかんだ手。 嵐の中で初めて握り返してくれた手。 あたしが崖から落ちても離そうとしなかった手。 後悔…、後悔、後悔、後悔! もう一度あのころにもどりたい! 毎日こいつの背中を見ていたあのころに…。 毎日こいつの声を聞いていたあのころに…。 あたりまえのようにこいつのそばにいられたあのころに…。 神様、今まで一度も信じたことなんかなかったのに虫が良すぎるけど、たった一つのお願い! あたしをあの、北高の部室にもどして! 「じゃあな、披露宴のキャンドルサービスで会おう。」 あいつの背中が遠ざかっていく。 それを追いかけることは許されない。 キョンが、許してくれない。 大好きな背中。 ずっと見ていた背中。 ずっと見ていたい背中。 なんで、しがみつかなかったんだろう。 なにが邪魔したんだろう。 みんなに美人だともてはやされていたプライド? 勉強もスポーツも音楽さえもあいつより優れているという自己満足? 平凡な容姿のあいつと結ばれるのは嫌だという女の見栄? 違う。 そんなものじゃない。 そんなもの、この背中に比べれば、ジュースの空き缶ほどの価値もない。 勇気が、足りなかっただけ。 それさえも、嘘。 勇気を、ふりしぼらなかっただけ! こいつにしがみついて振り払われるのが怖かった。 ただそれだけ。 こんなに大事なものだとわかっていたなら、何回振り払われてでもしがみつくべきだった! こいつが「やれやれ、しょうがないな」と言ってあたしを背中に乗せてくれるまで、何度でもしがみつけばよかった! 「おまえをこう呼ぶのも最後になるな。」 キョンが扉を開ける。 この廊下からさえも出ていく。 あの夜の校庭で、あたしだけをつれて駆けた背中が、あたしの前から消えようとしている。 せっかく、出会えたのに! この広い世界で、キョンに出会えたのに! 「おれは断じて見ていない。断じて見ていないが…、やっぱり意地があるようだ。…これだけは言わせてくれ。」 いや…、あれほど聞きたかった言葉だけど、今は聞くのが怖い。 そう。あたしの生涯でいちばん大切な思い出。 あたしにとって宝物のような、宝石みたいな思い出。 今それを聞いてしまったら…あたし…。 「ハルヒ。」 「…なに。」 「似合ってるぞ。」 扉がパタンと閉じた。 パソコンのディスプレーが見える。 電源は…、落ちているみたいだ。何も映っていない。 夕方のようだ。後ろに窓があるのだろうか。夕陽が照りつけている。 ディスプレーの向こうに、長机が見える。 その先に、ボロボロの扉が見える。 見慣れた場所のような気もするし、ひどく懐かしい場所のような気もする。 自分の体を見てみた。 北高のセーラー服を着ている! 左袖…。 見間違うはずもない! 真っ赤なSOS団団長の腕章! だけど…、まだ安心できない! そうだ! 学生カバンの中を必死に探る。 あった! あのホテルの部屋にあったバカでかい代物とは全く違う、高校生の身の丈にあった粗末な鏡。 意を決して見る! 涙と鼻水でボロボロのひどい顔をしている。だけどそんなことはどうだっていい! あたしの髪には、あのティアラとかいう用途不明の装飾品ではなく、黄色いリボン付きカチューシャがはめられていた。 悪い夢を見ていたのだろうか…。 それとも、神様があたしのたった一度のお願いを聞いてくれたのだろうか。 そう言えば、今日一日授業を受けた後団活をして、団長机で居眠りをしてしまったような記憶がある。 だけど、高校を卒業して大学に進み、就職をして古泉君と交際をして…、という記憶もあるような気がする。 どっちでもいい。 あたしは、ここにいる。 北高の部室にいる。 ここにいる…はず。 自信がない。 あれは、夢なんかじゃなかった。 そう、あれはきっと、もう一つの現実。 体の震えがまだ止まらない。 あれが現実で、今あたしが見ているのが、ホテルの救護室で見ている夢だったら… 深く考えるのが怖い。 立ってあの扉を開けるのが怖い。 やっぱりあたしは臆病ものだ。 勇気をふりしぼることができない。 あの扉の向こうのどこにも、キョンがいなかったらと思うと怖い。 なんでこんなに怖いんだろう。 キョンが、あたしのいる部屋に入ってこなかったせいだ。 キョンが、あたしを廊下に残して、後ろ手にドアを閉めてしまったせいだ。 キョンがあの扉を開けて、ここに入ってくるまでは安心できな……。 ガチャ。 「ハルヒ、起きたか? 他の三人は帰ったぞ。コーヒー買ってきたんだけど飲むか? 一本しかないから半分こな。まあ、おまえに半分と言ってもほとんど飲まれちまう…。」 さっきまでの焦燥と不安がみるみる消えていく。 胸の辺りから生まれた安心感がゆっくりと全身を包みこむ。 あたしは、声に出して言っていた。 「か、か、かみざま……、あ…、あじがどう……。」 「本当は誰も入れるべきではないんだけれど、あなたを信用します。あなたなら大丈夫だと。古い付き合いだしね。だけど、花嫁におかしなことをしたら、許さないわよ。」 今日はあたしの結婚式。 人生の門出。 あたしは古泉君と結ばれる。 大学を卒業して就職したあと、古泉君に告白された。 三年ほどおつき合いをしてプロポーズされた。 SOS団は不滅だと言っていたけど、あたしが高校を卒業すると同時にみくるちゃんは遠い外国に行ってしまった。 有希は、あたしが知らない間に行方不明になっていた。あのマンションの部屋はいつのまにか何ひとつなくなっていた。 今あたしのそばにいるのは……。 「もう一度いいます。わたしは最後まで反対しました。しかしどうしても娘があなたに会いたいと。だから私はあなたを信用しました。決して花嫁におかしな真似をしないで下さい。」 ここは、ホテルの部屋。 あたしは、豪華な椅子に座っている。 大理石の床に高い天井。大きなシャンデリア。 大きな鏡がある。全身を映す鏡。 純白のウェディングドレスをまとった、あたしを映している鏡。 ママがキョンにしつこく念を押している。 馬鹿ね。 鏡の中のあたしがクスリと笑った。 そんなに心配しなくても、あいつがあたしに変なことなんかできるわけがないのに。 「涼宮さん」 キョンの声が聞こえた。 久しぶりに聞く声。 やっぱり大人になったのね。 太くて、練れた声。 男の声。 あたしは鏡から目を離して、頑丈そうな木の扉を見た。 「あなたは、俺を信用しているのですか。信用していないのですか。」 「何を言っているのですか。あなたを信用していると言ったでしょう。だから新郎以外決して入れるべきではない所にあなたを案内しようとしているのです。あなたは拗ねているのですか。ここに新郎以外の男性を入れることの意味がわかっているのですか。そんなことを言うのなら、やはり信用すべきではないですね。」 「あなたが俺を信用するのならば、何も言わずにここに俺を連れてくるべきでした。信用しないのならばこんな所に俺を連れてくるべきじゃなかった。違いますか。」 キョンったら、理屈っぽいところは変わってないのね。だけどそんなことを言ったら逆効果よ。ほら、親父が露骨に舌打ちをしているわ。 「あなたねえ、いい加減にしてちょうだい。あなたを信用しているって言ったでしょう。だけど万一のことがあったら困るから、釘を刺しただけ。わかりますね!」 「あなたは、俺を信用するのなら、信用したことについて責任を負うべきだ。 ここに俺を連れてきて何があったとしても自分で責めを負うだけのね。 あなたが信用しないというなら、信用しないことについての責任を取るべきだ。 あいつがあきらめるまで反対するべきだ。」 何だか様子がおかしい。 キョン…、何言ってるの? やっぱり拗ねてるの? あたしに、会いたくないの? 「俺には何の責任もない。 俺は古泉一樹君と涼宮ハルヒさんの門出を祝福するだけのためにここに来た。 俺は二人の友人です。それ以外のものでは決してありません。 俺がここでやるべきことはご祝儀を持ってくることと、披露宴を盛り上げることだけ。 違いますか。 俺には何の責任もありません。あなたがあいつに反対しきれなかったことに対する責任を負うつもりは毛頭ありません。 ではもう一度聞きます。 何の責任も負っていない俺を信用するんですか。しないんですか? 責任を持って決めて下さい。」 ママ、お願い! キョンを信用するって言って! あいつがあたしに乱暴したりするわけないわ! あたしはどうしてもあいつに会わなきゃならないの! ママが息を飲む音が聞こえた。 「失礼をお許し下さい。どうぞ娘に会ってやって下さい。お願いいたします。」 数秒間、誰も何も言わなかった。親父も我慢しているらしい。 「バカだ、おまえら。親子そろって大バカだ!」 「なんだと、小僧、いい加減に……。」 親父の声が聞こえる。親父がキョンを殴るかもしれない。 「いい加減にしてほしいのはこっちだ! ハルヒもバカだが、親はもっとバカだ! 高校生のころから知っているからっていつまでも人を高校生のガキ扱いするんじゃねえ! これだけ言ってもまだ俺を花嫁の仕度部屋に入れようとするのか! あんたらがすべきことは、おまえは信用できないと言って、俺をここから追い払うことだ!」 「…大人だったらわかるだろう。おまえ、花嫁になんかしたら大恥かくことに…。」 「それで俺が大恥かいたら古泉がなんと思う? あいつが傷つかないとでも思ったのか! 何事もなかったとしても、それがあいつに対する裏切りだとは思わないのか! それがあいつに知られたとしても、きっとあいつは許すだろう。 だったらそれでいいのか? 許してくれるんだったら裏切ってもいいのか? あいつはもう高校生のガキじゃねえ! 立派な大人だ! これからハルヒを養っていく、一家の主だ!」 あの強面親父が完全に気圧されている。 映画撮影の時にあたしを惚れ直させた、本気のあいつ。 あたしが絶対にやっちゃいけないことをしたら、本気で怒ってくれる、キョン。 だけど今、そんなことを感じさせられたら、覚悟が…。 キョン、ここに来てくれないの? あたし、あんたに「あの言葉」を言ってもらえたら、覚悟を決められるはずなのに…。 「ハルヒがなんかしてほしいんだったら古泉にやらせろ! なんでただの友人の俺にやらせるんだ! 俺の友人としての立ち位置はあいつが決めたことだ! 自分で決めたことだ! 一人で決めたことだ! 花嫁の仕度部屋でやらせるようなことだったらどんなことであれ古泉にやらせろ! 頭おかしいのか、おまえらは! こんなこと、言い出す方も言い出す方だが、伝える方も伝える方だ! こんな親に育てられたから、ハルヒもあそこまで傲岸不遜なバカ女になっちまったんだ!」 キョンは、ここに来てくれない。ここに入ってきてくれない…。 「だいたいこんなことを聞かされて、俺が冷静でいられるとでも思ったのか! ちったあ、他人の、俺の気持ちっていうものを考えやがれ!」 俺の気持ち? あいつの、気持ち…。 あたしは椅子から立ち上がった。 ドレスの裾がまとわりついて走りにくい。 あたし、なんでこんなもの着てるんだろう? 突進するようにドアを開けた。 同時にキョンが背中を向けた。 廊下に両親が真っ青な顔をして立ちつくしているのが見える。 そんなことはどうでもいい。 「ハルヒ、それは古泉に最初に見せろ。」 キョンは、あたしに礼服の背中を向けたまま言った。 なんでこんなことになっちゃったんだろう。 ずっとこいつのことが好きだった。 だけどあたしはこいつにつらく当たってきた。 それでもこいつはあたしについてきてくれた。 あたしはこいつにつらく当たりつづけた。 きっと、許してくれていると確認したかったから。 まだ、見捨てられていないと確認したかったから。 そうしないと、もう見捨てられたのかもしれないと怖かったから。 こんなあたしを、こいつが好きになってくれるはずがないと思っていた。 ずっとあたしの片思いだと思っていた。 そうじゃないと気づいた時には遅すぎた。 両家の結婚話は、もう後戻りのできない段階に入っていた。 あたしのわがままが通るような状況ではなかった。 そんな段階ではなかったから? 違う。 たとえ裏切ったとしても、古泉君は許してくれたと思う。 両親は、許してくれたかどうかはわからないが、許してくれなくてもかまわなかった。 だけど、キョンが許してくれるはずがなかった。 あたしが古泉君を裏切ることを、キョンが許すはずがなかった。 だから、あたしは覚悟を決めた。 もう、キョンのそばにいられなくても仕方がないと覚悟を決めた。 決めた、はずだった。 だけど不安だった。 だからキョンに「あの言葉」を言ってもらえればふっきれると思った。 最後に「あの言葉」を言ってもらいたかった。 「あの言葉」をもらえさえすれば、未練がなくなると思った。 「おまえが今やろうとしていたことは決して許されることじゃない。」 そう。誰が見たって、決して褒めてくれない行為。 なんで、こんなことしようとしたんだろう。 答えは、はっきりしている。 こいつがそばにいなかったから。 こいつのそばにいなかったから。 あたしは、こいつがそばにいなきゃダメだ。 そんなこと、ずっと昔からわかっていた。 くしゃりと視界が歪んだ。 大粒の涙が後から後からこぼれ落ちてくる。 覚悟が…、あんたのそばにはもういられないという覚悟が…、覚悟が、覚悟が! 「泣くなよ! おまえがもしここで泣いたら、古泉への最大の侮辱だ。そんなことは……俺が許さん!」 そうだ、覚悟なんかはじめから無かった。 覚悟を決めたつもりだっただけ。 いや、そうですらない。 覚悟を決めたと自分に言い聞かせただけ。 「あの言葉」を聞けば覚悟が固められるなんて嘘。 ただ、こいつにそう言ってほしかっただけ! 「泣くんだったら…、古泉の前で泣け。」 あいつの手を見た。 何回も何回もつかんだ手。 嵐の中で初めて握り返してくれた手。 あたしが崖から落ちても離そうとしなかった手。 後悔…、後悔、後悔、後悔! もう一度あのころにもどりたい! 毎日こいつの背中を見ていたあのころに…。 毎日こいつの声を聞いていたあのころに…。 あたりまえのようにこいつのそばにいられたあのころに…。 神様、今まで一度も信じたことなんかなかったのに虫が良すぎるけど、たった一つのお願い! あたしをあの、北高の部室にもどして! 「じゃあな、披露宴のキャンドルサービスで会おう。」 あいつの背中が遠ざかっていく。 それを追いかけることは許されない。 キョンが、許してくれない。 大好きな背中。 ずっと見ていた背中。 ずっと見ていたい背中。 なんで、しがみつかなかったんだろう。 なにが邪魔したんだろう。 みんなに美人だともてはやされていたプライド? 勉強もスポーツも音楽さえもあいつより優れているという自己満足? 平凡な容姿のあいつと結ばれるのは嫌だという女の見栄? 違う。 そんなものじゃない。 そんなもの、この背中に比べれば、ジュースの空き缶ほどの価値もない。 勇気が、足りなかっただけ。 それさえも、嘘。 勇気を、ふりしぼらなかっただけ! こいつにしがみついて振り払われるのが怖かった。 ただそれだけ。 こんなに大事なものだとわかっていたなら、何回振り払われてでもしがみつくべきだった! こいつが「やれやれ、しょうがないな」と言ってあたしを背中に乗せてくれるまで、何度でもしがみつけばよかった! 「おまえをこう呼ぶのも最後になるな。」 キョンが扉を開ける。 この廊下からさえも出ていく。 あの夜の校庭で、あたしだけをつれて駆けた背中が、あたしの前から消えようとしている。 せっかく、出会えたのに! この広い世界で、キョンに出会えたのに! 「おれは断じて見ていない。断じて見ていないが…、やっぱり意地があるようだ。…これだけは言わせてくれ。」 いや…、あれほど聞きたかった言葉だけど、今は聞くのが怖い。 そう。あたしの生涯でいちばん大切な思い出。 あたしにとって宝物のような、宝石みたいな思い出。 今それを聞いてしまったら…あたし…。 「ハルヒ。」 「…なに。」 「似合ってるぞ。」 扉がパタンと閉じた。 パソコンのディスプレーが見える。 電源は…、落ちているみたいだ。何も映っていない。 夕方のようだ。後ろに窓があるのだろうか。夕陽が照りつけている。 ディスプレーの向こうに、長机が見える。 その先に、ボロボロの扉が見える。 見慣れた場所のような気もするし、ひどく懐かしい場所のような気もする。 自分の体を見てみた。 北高のセーラー服を着ている! 左袖…。 見間違うはずもない! 真っ赤なSOS団団長の腕章! だけど…、まだ安心できない! そうだ! 学生カバンの中を必死に探る。 あった! あのホテルの部屋にあったバカでかい代物とは全く違う、高校生の身の丈にあった粗末な鏡。 意を決して見る! 涙と鼻水でボロボロのひどい顔をしている。だけどそんなことはどうだっていい! あたしの髪には、あのティアラとかいう用途不明の装飾品ではなく、黄色いリボン付きカチューシャがはめられていた。 悪い夢を見ていたのだろうか…。 それとも、神様があたしのたった一度のお願いを聞いてくれたのだろうか。 そう言えば、今日一日授業を受けた後団活をして、団長机で居眠りをしてしまったような記憶がある。 だけど、高校を卒業して大学に進み、就職をして古泉君と交際をして…、という記憶もあるような気がする。 どっちでもいい。 あたしは、ここにいる。 北高の部室にいる。 ここにいる…はず。 自信がない。 あれは、夢なんかじゃなかった。 そう、あれはきっと、もう一つの現実。 体の震えがまだ止まらない。 あれが現実で、今あたしが見ているのが、ホテルの救護室で見ている夢だったら… 深く考えるのが怖い。 立ってあの扉を開けるのが怖い。 やっぱりあたしは臆病ものだ。 勇気をふりしぼることができない。 あの扉の向こうのどこにも、キョンがいなかったらと思うと怖い。 なんでこんなに怖いんだろう。 キョンが、あたしのいる部屋に入ってこなかったせいだ。 キョンが、あたしを廊下に残して、後ろ手にドアを閉めてしまったせいだ。 キョンがあの扉を開けて、ここに入ってくるまでは安心できな……。 ガチャ。 「ハルヒ、起きたか? 他の三人は帰ったぞ。コーヒー買ってきたんだけど飲むか? 一本しかないから半分こな。まあ、おまえに半分と言ってもほとんど飲まれちまう…。」 さっきまでの焦燥と不安がみるみる消えていく。 胸の辺りから生まれた安心感がゆっくりと全身を包みこむ。 あたしは、声に出して言っていた。 「か、か、かみざま……、あ…、あじがどう……。」 「本当は誰も入れるべきではないんだけれど、あなたを信用します。あなたなら大丈夫だと。古い付き合いだしね。だけど、花嫁におかしなことをしたら、許さないわよ。」 今日はあたしの結婚式。 人生の門出。 あたしは古泉君と結ばれる。 大学を卒業して就職したあと、古泉君に告白された。 三年ほどおつき合いをしてプロポーズされた。 SOS団は不滅だと言っていたけど、あたしが高校を卒業すると同時にみくるちゃんは遠い外国に行ってしまった。 有希は、あたしが知らない間に行方不明になっていた。あのマンションの部屋はいつのまにか何ひとつなくなっていた。 今あたしのそばにいるのは……。 「もう一度いいます。わたしは最後まで反対しました。しかしどうしても娘があなたに会いたいと。だから私はあなたを信用しました。決して花嫁におかしな真似をしないで下さい。」 ここは、ホテルの部屋。 あたしは、豪華な椅子に座っている。 大理石の床に高い天井。大きなシャンデリア。 大きな鏡がある。全身を映す鏡。 純白のウェディングドレスをまとった、あたしを映している鏡。 ママがキョンにしつこく念を押している。 馬鹿ね。 鏡の中のあたしがクスリと笑った。 そんなに心配しなくても、あいつがあたしに変なことなんかできるわけがないのに。 「涼宮さん」 キョンの声が聞こえた。 久しぶりに聞く声。 やっぱり大人になったのね。 太くて、練れた声。 男の声。 あたしは鏡から目を離して、頑丈そうな木の扉を見た。 「あなたは、俺を信用しているのですか。信用していないのですか。」 「何を言っているのですか。あなたを信用していると言ったでしょう。だから新郎以外決して入れるべきではない所にあなたを案内しようとしているのです。あなたは拗ねているのですか。ここに新郎以外の男性を入れることの意味がわかっているのですか。そんなことを言うのなら、やはり信用すべきではないですね。」 「あなたが俺を信用するのならば、何も言わずにここに俺を連れてくるべきでした。信用しないのならばこんな所に俺を連れてくるべきじゃなかった。違いますか。」 キョンったら、理屈っぽいところは変わってないのね。だけどそんなことを言ったら逆効果よ。ほら、親父が露骨に舌打ちをしているわ。 「あなたねえ、いい加減にしてちょうだい。あなたを信用しているって言ったでしょう。だけど万一のことがあったら困るから、釘を刺しただけ。わかりますね!」 「あなたは、俺を信用するのなら、信用したことについて責任を負うべきだ。 ここに俺を連れてきて何があったとしても自分で責めを負うだけのね。 あなたが信用しないというなら、信用しないことについての責任を取るべきだ。 あいつがあきらめるまで反対するべきだ。」 何だか様子がおかしい。 キョン…、何言ってるの? やっぱり拗ねてるの? あたしに、会いたくないの? 「俺には何の責任もない。 俺は古泉一樹君と涼宮ハルヒさんの門出を祝福するだけのためにここに来た。 俺は二人の友人です。それ以外のものでは決してありません。 俺がここでやるべきことはご祝儀を持ってくることと、披露宴を盛り上げることだけ。 違いますか。 俺には何の責任もありません。あなたがあいつに反対しきれなかったことに対する責任を負うつもりは毛頭ありません。 ではもう一度聞きます。 何の責任も負っていない俺を信用するんですか。しないんですか? 責任を持って決めて下さい。」 ママ、お願い! キョンを信用するって言って! あいつがあたしに乱暴したりするわけないわ! あたしはどうしてもあいつに会わなきゃならないの! ママが息を飲む音が聞こえた。 「失礼をお許し下さい。どうぞ娘に会ってやって下さい。お願いいたします。」 数秒間、誰も何も言わなかった。親父も我慢しているらしい。 「バカだ、おまえら。親子そろって大バカだ!」 「なんだと、小僧、いい加減に……。」 親父の声が聞こえる。親父がキョンを殴るかもしれない。 「いい加減にしてほしいのはこっちだ! ハルヒもバカだが、親はもっとバカだ! 高校生のころから知っているからっていつまでも人を高校生のガキ扱いするんじゃねえ! これだけ言ってもまだ俺を花嫁の仕度部屋に入れようとするのか! あんたらがすべきことは、おまえは信用できないと言って、俺をここから追い払うことだ!」 「…大人だったらわかるだろう。おまえ、花嫁になんかしたら大恥かくことに…。」 「それで俺が大恥かいたら古泉がなんと思う? あいつが傷つかないとでも思ったのか! 何事もなかったとしても、それがあいつに対する裏切りだとは思わないのか! それがあいつに知られたとしても、きっとあいつは許すだろう。 だったらそれでいいのか? 許してくれるんだったら裏切ってもいいのか? あいつはもう高校生のガキじゃねえ! 立派な大人だ! これからハルヒを養っていく、一家の主だ!」 あの強面親父が完全に気圧されている。 映画撮影の時にあたしを惚れ直させた、本気のあいつ。 あたしが絶対にやっちゃいけないことをしたら、本気で怒ってくれる、キョン。 だけど今、そんなことを感じさせられたら、覚悟が…。 キョン、ここに来てくれないの? あたし、あんたに「あの言葉」を言ってもらえたら、覚悟を決められるはずなのに…。 「ハルヒがなんかしてほしいんだったら古泉にやらせろ! なんでただの友人の俺にやらせるんだ! 俺の友人としての立ち位置はあいつが決めたことだ! 自分で決めたことだ! 一人で決めたことだ! 花嫁の仕度部屋でやらせるようなことだったらどんなことであれ古泉にやらせろ! 頭おかしいのか、おまえらは! こんなこと、言い出す方も言い出す方だが、伝える方も伝える方だ! こんな親に育てられたから、ハルヒもあそこまで傲岸不遜なバカ女になっちまったんだ!」 キョンは、ここに来てくれない。ここに入ってきてくれない…。 「だいたいこんなことを聞かされて、俺が冷静でいられるとでも思ったのか! ちったあ、他人の、俺の気持ちっていうものを考えやがれ!」 俺の気持ち? あいつの、気持ち…。 あたしは椅子から立ち上がった。 ドレスの裾がまとわりついて走りにくい。 あたし、なんでこんなもの着てるんだろう? 突進するようにドアを開けた。 同時にキョンが背中を向けた。 廊下に両親が真っ青な顔をして立ちつくしているのが見える。 そんなことはどうでもいい。 「ハルヒ、それは古泉に最初に見せろ。」 キョンは、あたしに礼服の背中を向けたまま言った。 なんでこんなことになっちゃったんだろう。 ずっとこいつのことが好きだった。 だけどあたしはこいつにつらく当たってきた。 それでもこいつはあたしについてきてくれた。 あたしはこいつにつらく当たりつづけた。 きっと、許してくれていると確認したかったから。 まだ、見捨てられていないと確認したかったから。 そうしないと、もう見捨てられたのかもしれないと怖かったから。 こんなあたしを、こいつが好きになってくれるはずがないと思っていた。 ずっとあたしの片思いだと思っていた。 そうじゃないと気づいた時には遅すぎた。 両家の結婚話は、もう後戻りのできない段階に入っていた。 あたしのわがままが通るような状況ではなかった。 そんな段階ではなかったから? 違う。 たとえ裏切ったとしても、古泉君は許してくれたと思う。 両親は、許してくれたかどうかはわからないが、許してくれなくてもかまわなかった。 だけど、キョンが許してくれるはずがなかった。 あたしが古泉君を裏切ることを、キョンが許すはずがなかった。 だから、あたしは覚悟を決めた。 もう、キョンのそばにいられなくても仕方がないと覚悟を決めた。 決めた、はずだった。 だけど不安だった。 だからキョンに「あの言葉」を言ってもらえればふっきれると思った。 最後に「あの言葉」を言ってもらいたかった。 「あの言葉」をもらえさえすれば、未練がなくなると思った。 「おまえが今やろうとしていたことは決して許されることじゃない。」 そう。誰が見たって、決して褒めてくれない行為。 なんで、こんなことしようとしたんだろう。 答えは、はっきりしている。 こいつがそばにいなかったから。 こいつのそばにいなかったから。 あたしは、こいつがそばにいなきゃダメだ。 そんなこと、ずっと昔からわかっていた。 くしゃりと視界が歪んだ。 大粒の涙が後から後からこぼれ落ちてくる。 覚悟が…、あんたのそばにはもういられないという覚悟が…、覚悟が、覚悟が! 「泣くなよ! おまえがもしここで泣いたら、古泉への最大の侮辱だ。そんなことは……俺が許さん!」 そうだ、覚悟なんかはじめから無かった。 覚悟を決めたつもりだっただけ。 いや、そうですらない。 覚悟を決めたと自分に言い聞かせただけ。 「あの言葉」を聞けば覚悟が固められるなんて嘘。 ただ、こいつにそう言ってほしかっただけ! 「泣くんだったら…、古泉の前で泣け。」 あいつの手を見た。 何回も何回もつかんだ手。 嵐の中で初めて握り返してくれた手。 あたしが崖から落ちても離そうとしなかった手。 後悔…、後悔、後悔、後悔! もう一度あのころにもどりたい! 毎日こいつの背中を見ていたあのころに…。 毎日こいつの声を聞いていたあのころに…。 あたりまえのようにこいつのそばにいられたあのころに…。 神様、今まで一度も信じたことなんかなかったのに虫が良すぎるけど、たった一つのお願い! あたしをあの、北高の部室にもどして! 「じゃあな、披露宴のキャンドルサービスで会おう。」 あいつの背中が遠ざかっていく。 それを追いかけることは許されない。 キョンが、許してくれない。 大好きな背中。 ずっと見ていた背中。 ずっと見ていたい背中。 なんで、しがみつかなかったんだろう。 なにが邪魔したんだろう。 みんなに美人だともてはやされていたプライド? 勉強もスポーツも音楽さえもあいつより優れているという自己満足? 平凡な容姿のあいつと結ばれるのは嫌だという女の見栄? 違う。 そんなものじゃない。 そんなもの、この背中に比べれば、ジュースの空き缶ほどの価値もない。 勇気が、足りなかっただけ。 それさえも、嘘。 勇気を、ふりしぼらなかっただけ! こいつにしがみついて振り払われるのが怖かった。 ただそれだけ。 こんなに大事なものだとわかっていたなら、何回振り払われてでもしがみつくべきだった! こいつが「やれやれ、しょうがないな」と言ってあたしを背中に乗せてくれるまで、何度でもしがみつけばよかった! 「おまえをこう呼ぶのも最後になるな。」 キョンが扉を開ける。 この廊下からさえも出ていく。 あの夜の校庭で、あたしだけをつれて駆けた背中が、あたしの前から消えようとしている。 せっかく、出会えたのに! この広い世界で、キョンに出会えたのに! 「おれは断じて見ていない。断じて見ていないが…、やっぱり意地があるようだ。…これだけは言わせてくれ。」 いや…、あれほど聞きたかった言葉だけど、今は聞くのが怖い。 そう。あたしの生涯でいちばん大切な思い出。 あたしにとって宝物のような、宝石みたいな思い出。 今それを聞いてしまったら…あたし…。 「ハルヒ。」 「…なに。」 「似合ってるぞ。」 扉がパタンと閉じた。 パソコンのディスプレーが見える。 電源は…、落ちているみたいだ。何も映っていない。 夕方のようだ。後ろに窓があるのだろうか。夕陽が照りつけている。 ディスプレーの向こうに、長机が見える。 その先に、ボロボロの扉が見える。 見慣れた場所のような気もするし、ひどく懐かしい場所のような気もする。 自分の体を見てみた。 北高のセーラー服を着ている! 左袖…。 見間違うはずもない! 真っ赤なSOS団団長の腕章! だけど…、まだ安心できない! そうだ! 学生カバンの中を必死に探る。 あった! あのホテルの部屋にあったバカでかい代物とは全く違う、高校生の身の丈にあった粗末な鏡。 意を決して見る! 涙と鼻水でボロボロのひどい顔をしている。だけどそんなことはどうだっていい! あたしの髪には、あのティアラとかいう用途不明の装飾品ではなく、黄色いリボン付きカチューシャがはめられていた。 悪い夢を見ていたのだろうか…。 それとも、神様があたしのたった一度のお願いを聞いてくれたのだろうか。 そう言えば、今日一日授業を受けた後団活をして、団長机で居眠りをしてしまったような記憶がある。 だけど、高校を卒業して大学に進み、就職をして古泉君と交際をして…、という記憶もあるような気がする。 どっちでもいい。 あたしは、ここにいる。 北高の部室にいる。 ここにいる…はず。 自信がない。 あれは、夢なんかじゃなかった。 そう、あれはきっと、もう一つの現実。 体の震えがまだ止まらない。 あれが現実で、今あたしが見ているのが、ホテルの救護室で見ている夢だったら… 深く考えるのが怖い。 立ってあの扉を開けるのが怖い。 やっぱりあたしは臆病ものだ。 勇気をふりしぼることができない。 あの扉の向こうのどこにも、キョンがいなかったらと思うと怖い。 なんでこんなに怖いんだろう。 キョンが、あたしのいる部屋に入ってこなかったせいだ。 キョンが、あたしを廊下に残して、後ろ手にドアを閉めてしまったせいだ。 キョンがあの扉を開けて、ここに入ってくるまでは安心できな……。 ガチャ。 「ハルヒ、起きたか? 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